ケリング・グループ

お客様への思いやり

"お客様の体験とブランドのパフォーマンスを高める"
コロナ禍の最中にオンライン上の売り上げが驚異的に伸びたことは、デジタル技術がラグジュアリーにおいて中心的な役割を果たしていることを示すと同時に、ケリングのビジネス戦略を裏付けるものでした。デジタルプラットフォームは、グループにとって、店舗でもオンラインでも、お客様の体験の質を高めるための重要な原動力となっています。グレゴリー・ブッテがこの1年について語ります。

- グレゴリー・ブッテ、チーフ・クライアント兼デジタル・オフィサー
デジタル技術に対するケリングのビジョンを教えてください。

ケリングにとってデジタル技術は、それ自体が目的ではなく、手段です。グループのブランドの成功は、ブランドの創造性、信頼性、そして卓越したノウハウに根ざしています。ラグジュアリーとは、素晴らしい製品を提供することであり、それが優れた購買体験につながるのです。今、私たちが目指しているのは、こうした体験をさらに向上させることです。デジタル技術の強みは、通常では実現できないような体験を提供できることです。

 

例えば、店頭の販売員向けに開発したアプリ「Luce」では、在庫状況をリアルタイムで確認できるほか、商品やお客様の購入履歴に基づいたおすすめのスタイルを紹介しています。このアプリは、スタッフの知識を増やし、お客様との関係強化に集中できるようにすることで、お客様へより良い体験を提供することができます。この技術は実際、セールスに直接的な効果をもたらしています。これは、ラグジュアリー分野におけるデジタル技術の可能性を示す良い例で、お客様、セールスチーム、ブランドにどういったメリットをもたらせるかを示しています。

 

 

コロナ禍において、デジタルはどのような役割を果たしましたか?

デジタルによって、基本的には連絡を取り合うことができましたね。私たちは皆、家族や友人との間でそれを体験しましたが、グループのブランドやコミュニティにとっても同じことが言えます。お客様と物理的に接することができなかったため、当社のブランドはソーシャルメディアのプラットフォーム、特にアジアではWeChatを活用し、存在感を高めました。これらのチャネルでは、ソーシャル・コマースの出現などにより、利用形態が急速に拡大しました。また、パンデミックは、オンラインや遠隔地でのお客様の購入が大幅に増加したことや、ブランドごとに新しいソリューションやプロセスの導入という点でも、促進剤となりました。私たちは、秋冬コレクションを紹介するためのバーチャルショールームを開設しました。ブティックが一時的に閉鎖された際には、ブランドがリモートで販売を行い、特にデータの利用を増やすことで、よりターゲットを絞ったパーソナライズされた方法で顧客とコミュニケーションできるよう、さまざまなソリューションを提供しました。

 

 

2019年には、グループのブランドが運営するEコマースサイトの内製化を発表しました。それによってどのようなメリットがあったのでしょうか?

課題は2つあり、お客様の体験の質を高めることと、ウェブサイトのパフォーマンスを向上させることでした。私たちのブティックは世界でも最高の体験を提供していますが、オンラインでも同じレベルに到達することを目指しています。インテリアデザイン、商品ラインナップ、イベントやサービスをブランドが完全にコントロールできるように、オンラインでも同じような体験をしていただきたいと思っています。これは、すでに独自のプラットフォームを運営しているグッチにとっては、長年の課題でした。

 

また、真のオムニチャネル・ジャーニーを提供するための必須条件でもあります。例えば、ブランドのウェブサイトで商品を購入・予約し、ブティックで受け取ることができたり、サイトを利用して直接の来店予約ができたりします。これらのサービスは、特に若い世代やアジアではもちろんのこと、それ以外の地域でも大いに喜ばれています。お客様にとって、ブランドのウェブサイトと販売拠点の間に障壁があってはならず、双方をシームレスに行き来できることが理想です。自社でプラットフォームを管理することで、その期待に応えることができます。アレキサンダー・マックイーンとサンローランは2020年から、バレンシアガは2021年から自社プラットフォームを実装しています。最後に、オンライン販売を直接管理することで、製品の在庫や納期も改善されます。お客様がオンラインで注文された場合、配送は当社の物流プラットフォーム(イタリア、米国など)またはお客様のご自宅近くのブティックがお受けします。

 

 

他に取り組んでいる分野はありますか?

私たちは、人工知能など、業務効率を高めるための技術を模索しています。その目的は、コレクションの生産と販売予測の整合性を微調整することです。私たちは慎重な姿勢を貫いていますが、すでに予測の精度は向上しており、経済的にも環境的にも良い影響を与えています。


また、ブロックチェーンにも興味があります。ブロックチェーンは、トレーサビリティーや偽造品対策に大きな可能性を秘めており、お客様とブランドの双方にメリットがあります。ユリス・ナルダンやマックキューでは、すでにこの技術を自社のプロセスに取り入れています。

 

最後に、私たちは明日のラグジュアリーの一部となる分野に取り組んでいます。新素材はイノベーションの主要分野であり、例えば、動物性皮革に代わるものを綿密に検討しています。同時に、イノベーションをもたらす可能性のある新しいビジネスモデルにも注目しています。2021年の初めに、当社は中古ファッションの世界的なプラットフォームである「ヴェスティエール コレクティブ」に資本参加したことを発表しました。リセールビジネスは急成長している市場で、新世代の期待と購買習慣に合致した大きなトレンドです。このトレンドをサポートし、内側から理解することにより、お客様に最大限の利益を提供し、将来的にはラグジュアリーをより革新的で持続可能なものへと導くという2つの大きな目的を見据えています。

 

 

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2020年の主な課題は何だったのか。私たちのチームはどのように対応し、いかなる成果をあげたのか。私たちが優先すること、そして目標は何か。ジャン=フランソワ・パルー(グループ・マネージング・ディレクター)、ベアトリス・ラザ(チーフ・ピープル・オフィサー)、グレゴリー・ブッテ(チーフ・クライアント兼デジタル・オフィサー)、マリー=クレール・ダヴー(チーフ・サステナビリティ・オフィサー兼渉外担当責任者)のインタビューをご覧ください。