ケリング・グループ

会長メッセージ

2020年、世界は大きな危機に直面しました。健康に影響を及ぼすこの危機は同時に、経済、社会、環境にも影響を与えました。この前例のない事態に立ち向かうには、連帯感や回復力、創造力を組み合わせ柔軟に対応することが求められ、ケリングもまた当然ながら、社会全体による努力の一翼を担いました。

François-Henri Pinault ケリング会長兼CEO

どのような状況下においても、企業は社会的に大きな役割を担っており、ビジネスの成功を追求することにその目標が限定されるのではなく、それぞれの価値観やリソースに基づき、意見を表明し、行動を起こすべきだと私は考えます。例えば、ケリングやグループのブランドによる、パンデミックの際の医療従事者への実践的な支援や、ロックダウン中に深刻化したドメスティックバイオレンスの被害者である女性への支援などがそれにあたります。同様に、私たちはアメリカのBlack Lives Matter運動も支援しました。社会における特定の議論に参加する責任があると考えたからです。

 

従業員、お客様、サプライヤーを大切にすることは、私たちのアイデンティティの本質的な部分であり、責任感と誠実さを持ち、社会の多様性を反映したラグジュアリーのビジョンでもあります。私たちは、グループのブランドの創造性、豊かな世界観、そしてブランドが体現する価値観を通じて、すべての人が自分自身のユニークな個性を発揮できる機会を提供したいと考えています。

 

 

大胆さ、敏捷さ、決断力、回復力

ケリングの文化には、大胆さ、敏捷さ、決断力があります。2020年に私たちが示した回復力の背景には、こうした価値観がありました。私たちが一丸となって連帯したことを私は非常に誇りに思っており、38,000人の従業員一人ひとりに感謝したいと思っています。非常に複雑なビジネス環境にもかかわらず、当社は連結売上高131億ユーロ、経常営業利益31億ユーロという堅調な業績を達成しました。世界の市場が店舗の閉鎖などによって影響を受けたにもかかわらず、4つのブランドにおいて売上高が増加しました。


今回の危機は、オンラインセールスや企業の社会的責任への関心の高まりなど、いくつかの消費者動向の加速にもつながりました。これらのトレンドは、以前から当社の事業戦略に反映されており、パンデミックによる混乱にも効率的に対処することができました。また、先に決定したブランドのEコマースサイトの内製化も、このトレンドに基づいています。同様に、すでに進行中のイノベーションプロジェクトのおかげで、ショールームや製品開発など、特定プロセスのデジタル化をより迅速に展開することができました。


また、サステナビリティの面では、私たちだけでなく、ファッション業界全体がこれまでになく意欲的に取り組んでいます。気候変動、生物多様性、海洋保護などの問題に取り組むために結成されたファッション協定を通じ、ファッション業界の環境フットプリントを削減するための総力戦をリードしていきたいと考えています。

 

 

シームレスでパーソナライズされた感動的な体験の提供

国際的な観光業の低迷に直面し、ブランドは地域のお客様との関係を強化するために、革新的なアプローチで対応しました。店舗に期待されることもまた変化し、その役割が見直されました。店舗は今まで以上に、シームレスでパーソナライズされ、感情に訴えかける、ブランドの提供するユニークな体験の場になってきています。人工知能とイノベーティブなデジタルツールをベースにしたソリューションによって、当社のセールススタッフ達は、お客様が遠隔操作を希望した場合でも、より包括的なサービスを提供することができ、また、ブランドは視認性、効率性、魅力を向上させることができます。

 

危機的状況にあっても、創造性と責任感に基づく当社のラグジュアリーに対するビジョンは変わりません。むしろ、私たちの開発戦略に影響を与えるトレンドを加速させました。マルチブランドのビジネスモデルとブランドのもつ大きな可能性によって、ケリングは自信と決意を抱え、未来を見据えています。当社の戦略と成長プラットフォームを基盤に、私たちは、Eコマース、物流、イノベーションといった分野で豊富なリソースを有しています。また、強固な財務構造を元に、ブランドへの投資を継続し、それぞれのブランドが市場での地位を強固にすることを可能にします。現在、私たちの立場はより堅調なものになり、収益性の高い成長軌道に再び戻ることができると確信しています。私たちの規律と敏捷性をもってすれば、今後数ヶ月、数年のうちに回復の機会をつかむことができると考えています。