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ケリング・グループ
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2025年10月21日
2019年以降、IFM - ケリング・サステナビリティ・チェア(講座)は、ファッションおよびラグジュアリー分野におけるサステナビリティに関する学びの機会を学生に提供してきました。過去5年間にわたるイノベーションの拠点としての役割を振り返ります。
2025年10月9日、パリ・オステルリッツ河岸にあるフランスファッション学院(IFM)にて、ファッション業界の高度な研究と教育の拠点であるIFM - ケリング・サステナビリティ・チェアが設立5周年を迎えました。この節目を記念して、講座の関係者、パートナー、卒業生、支援者が一堂に会し、これまでの成果を振り返るとともに、業界変革への貢献を称えました。
2019年にこの講座を設立した際、IFMはファッションの世界におけるサステナビリティのあらゆる側面を扱う教育課程を提供する、フランスのグランゼコールとして唯一の地位を確立しました。当時、ケリングはすでに奨学金などを通じてIFMを支援していましたが、この講座の共同設立は、業界の持続可能な変革に向けたグループのコミットメントにおける大きな転換点となりました。ケリングのサステナビリティおよび渉外担当責任者マリー=クレール・ダヴーは、設立時に次のように述べています。「ファッション業界の慣行やモデルを変えるには、研究と教育が重要な役割を果たします。ケリングでは、これらをサステナビリティ戦略の柱と位置づけています。ラグジュアリー・グループとして、未来のファッションを創る世代に向き合うことが私たちの責任だと考えています」
2019年の講座設立。
IFMでは、どの課程(職業資格、修士号、博士号、継続教育など)を履修していても、すべての学生が「責任あるファッション」(プレタポルテ、靴、レザーグッズ、アクセサリー、ジュエリー)に関する25時間の必修モジュールを受講します。授業時間は年々増加しており、これは業界全体でサステナビリティへの関心が高まっていることを反映しています。プログラム初年度は、約200人の学生が約30時間の授業を受けていましたが、2024–2025年度には、約1,300人の学生が合計600時間の授業を受講しました。
この講座の志と活動範囲は、設立以来、着実に広がっています。「当初は、持続可能な変革に焦点を当てた講座を作るという構想でしたが、今では本当にアイデアの実験室のような存在になっています」と語るのは、IFMのサステナビリティ関連の取り組み全体を統括し、IFM - ケリング・サステナビリティ・チェアのディレクターを務める産業工学博士、アンドレ=アンヌ・ルミュー教授です。「私たちは、サステナビリティという新しい学問分野の基盤を築いていることに気づいたのです」
教育プログラムに加え、この講座では、原材料のトレーサビリティ、環境負荷の測定、エコ責任あるビジネスモデルやエコデザインなど、サステナビリティのあらゆる側面に焦点を当てた科学的研究も数多く行っています。目的は、実践的な知識の包括的なライブラリーを構築し、既存の科学文献をさらに充実させることです。
“「ケリングでは、教育を意味ある長期的な変化を生み出す触媒と捉えています。学びのあらゆる段階にサステナビリティを組み込むことで、より意識的でレジリエントな未来の基盤を築いています」”
「サステナビリティは、さまざまな学問分野の交差点に位置にあります」とマリー=クレール・ダヴーは語ります。「こうした課題に取り組むには、集合知を活用することが不可欠です。そのため、講師陣は多様なバックグラウンドを持っています。大手企業、消費者ブランド、行政機関、NGO、スタートアップ、業界団体、研究機関など、まさに一つのエコシステムを形成しています」
学生は、「ファッション・サステナビリティ・サーティフィケート」(Certificate)プログラムへの参加を希望することもできます。このプログラムは、ファッションデザイン専攻でもファッションマネジメント専攻でも、修士課程に在籍するすべての学生に開かれています。全50時間の内容で、参加者は6か月間にわたり「貢献型プロジェクト」と呼ばれる実践的な課題に取り組み、年末には業界の専門家による審査員団に向けて成果を発表します。毎年、意欲を評価基準として30名の学生が選ばれ、社会的インパクト、連帯、素材の再利用、循環性、エコデザイン、市民参加、集団的エンゲージメントなど、重要なサステナビリティ課題に取り組みます。
「当初、Certificateは授業内容を補完し、さらに学びたい学生向けのプログラムとして設計されました」とアンドレ=アンヌ・ルミューは説明します。彼女はまた、プログラムに惹かれる学生の多様性にも言及します。参加者は21歳から45歳までの幅広い年齢層で、74か国の国籍が集まっています。「しかし、すぐにこれらのプロジェクトの成果は学生だけでなく、講師や審査員にも恩恵をもたらすことがわかりました。新しいテーマや解決策に触れる機会を提供しているのです」
2019年以降に開発された50のプロジェクトのひとつ「Régénérative」は、100%フランス製のリネン起毛フリース生地を使用したスウェットシャツの制作に焦点を当てました。「5年前、フランスにはこの種の衣服を製造できる機械はほとんどありませんでした」とアンドレ=アンヌ・ルミューは振り返ります。「私たちはヨーロッパ亜麻・リネン&ヘンプ連盟に連絡を取り、農家、織物工場、紡績工場を訪問しました。そして最終的に、思い描いていたリネン製のスウェットシャツを完成させることができました。その後、プロセスと製品に関する知識をすべて連盟に引き渡し、業界がこのプロジェクトを活用できるようにしました」卒業生の公式写真では、全員がこのスウェットシャツを着用しており、そこには講座の非公式スローガン「Let's Go Change The World」がプリントされています。
Certificateの貢献型プロジェクトは、ファッションデザインにとどまりません。2023年には、講座がフランスの小学校でサステナブル・ファッション教育を義務化する法案を作成し、フランス上院に提出しました。この法案は現在、反ファストファッション法の一環として政府が支持する修正案のひとつとなっています。「単に法案を提出するだけでなく、教師向けのワークショップも開発し、法案の実施に必要なすべての準備が整えることが目的でした」とアンドレ=アンヌ・ルミューは強調します。
“「IFM - ケリング・サステナビリティ・チェアは、IFMの戦略に不可欠な存在です。学生たちはサステナビリティの課題を360度の視点で理解し、将来の業界変革に貢献できるプロフェッショナルとして成長することができます」”
学際的なアプローチを通じて、この講座は未来の変革者となる人材の発掘と育成を目指しています。この目標は、責任あるラグジュアリーを推進し、サステナビリティを創造の中心に据えるというケリングのコミットメントと密接に一致しています。「学生たちがこれらの課題の複雑さを理解し、実践的な経験を積むためのツールを提供することで、私たちはサステナビリティに関する課題を深く理解した若手プロフェッショナルを何百人も育成しています」とアンドレ=アンヌ・ルミューは締めくくります。「サステナビリティ変革を加速させる可能性は非常に高いのです」