ブシュロン

1858年、フレデリック・ブシュロンによって創業されたハイジュエラー、ブシュロン。先見の明を持ち、他のジュエラーとは一線を画す自由なビジョンを掲げ、多くの革新的なクリエイションを世に送り出しました。

織物商の息子として生まれた彼が抱いたビジョンは、貴石や貴金属といった貴重な素材をテキスタイルのように扱い、身体のシルエットに寄り添うしなやかなジュエリーを生み出すことでした。メゾンの革新性を象徴するクリエイションが、1879年に誕生した「クエスチョンマーク ネックレス」です。当時、ジュエリーや衣服が女性の身体を束縛していた時代に、留め具（クラスプ）をなくしたこのネックレスは、女性が自ら身に着ける自由をもたらしました。1893年には、パレ・ロワイヤルのアーケードからヴァンドーム広場へとブティックを移転し、現代の名だたるジュエラーの中で初めてこの地にブティックを構えたことも、彼の前衛的な精神を物語っています。 

革新は、ブシュロンのクリエイティビティの核です。メゾンは毎年、2つのハイジュエリーコレクションを発表しています。2011年よりクリエイティブディレクターを務めるクレール・ショワンヌが手がける「ヒストリー オブ スタイル」は毎年1月に発表され、メゾンが辿ってきた歴史やヘリテージ作品を着想源に、現代的な解釈を加えて制作されます。そして7月には「カルト ブランシュ」が発表されます。クレール・ショワンヌが自由にテーマを選び、従来のハイジュエリーの慣習や定義を押し広げ、その着想や夢を具現化する革新的なコレクションです。彼女の作品には、完璧な技術と無限の創造性が見事に調和しています。その中には、NASAが宇宙で星の塵を捕獲するために使用する超軽量・半透明の素材「エアロゲル」や、産業廃棄物から生まれ、独自のガラス固形化を経て誕生した「コファリット®」といった、極めて革新的な素材を取り入れた作品も存在します。