ケリングにとって、サステナビリティは長年にわたり、企業として果たすべき責任であると同時に、事業運営の効率性を高める重要な要素でもありました。現在では、グループ戦略を支える5つの柱の一つとして位置づけられ、すべてのブランド、部門、そしてガバナンスのあらゆるレベルにおける意思決定の中心となっています。
サステナビリティは、ブランド価値の向上やステークホルダーからの信頼獲得、そして将来にわたり社会との関連性を維持していくうえで欠かせない要素です。この考えのもと、ケリングは現在、「資源効率の向上による責任ある生産の推進」「人材・クラフツマンシップ・バリューチェーンへの投資」「素材の多様化と次世代ラグジュアリーの創造」を3つの重点課題として掲げています。
資源効率の向上による責任ある生産の推進
責任ある生産は、環境負荷の低減とブランド価値の維持・向上の両面において重要な役割を果たします。ケリングは現在、より精緻で効率的な生産体制への移行を進めるとともに、コレクション開発の計画・管理手法の見直しにも取り組んでいます。その一環として、製品設計の初期段階からエコデザインの考え方を取り入れ、スケッチの段階から環境負荷の低い素材や製造方法を検討しています。これにより、廃棄物の削減を図るとともに、循環型の考え方を製品そのものに組み込んでいます。
人材・クラフツマンシップ・バリューチェーンへの投資
職人技の継承に向けては、サプライヤー評価指標の統一や社会基準に関する監査を実施するとともに、「Kering Accademia per le Eccellenze」を通じて次世代の職人育成を支援しています。これにより、ブランド全体で卓越した技術や専門知識の継承と発展を促進しています。
また、バリューチェーン全体における人材育成にも取り組んでいます。すべてのブランドでリテールエクセレンス人材モデルを導入しているほか、グループおよび各ブランドの成果と連動した目標管理制度(MBO)を運用し、人材育成プログラムである「Talent Match」や「A Kering」などの人材育成プログラムを通じてキャリア開発を支援しています。
さらに、従業員の60%以上を占める女性へのコミットメントも継続しています。芸術・文化分野における「ウーマン・イン・モーション」プログラムや、2008年からジェンダーに基づく暴力の根絶に取り組む「ケリング・ファウンデーション」の活動を通じて、女性のエンパワーメントを推進しています。
素材の多様化と次世代ラグジュアリーの創造
顧客の価値観の変化、気候変動への対応、動物福祉への配慮を踏まえ、ケリングは素材のトレーサビリティ向上と責任ある調達を推進しています。また、限りある資源への依存を低減するため、素材ポートフォリオの多様化を進めています。マテリアル・イノベーション・ラボや戦略的パートナーシップを通じて次世代素材の開発・導入を加速し、より持続可能なラグジュアリーの実現を目指しています。さらに、修理サービス、認定リセール、生涯保証、デジタル・プロダクト・パスポートなど、製品価値を高めるサービスの拡充にも取り組んでいます。これらの取り組みは、顧客からの信頼やロイヤルティを向上とともに、ブランド価値のさらなる強化にもつながっています。
進捗の測定
ケリングは、サステナビリティに関する重点課題の進捗を、以下の主要指標に基づいて評価しています。
• 生産量に対する販売量の比率による生産効率の向上、「ケリング・スタンダード」への適合状況、およびSBTiに基づくCO₂排出量の削減状況(2033年までに50%削減、2050年までにネットゼロ達成を目標)
• 素材の完全なトレーサビリティの実現と、2035年までにプレタポルテにおける再生型素材の使用比率20%、代替素材の使用比率40%の達成
• 2025年比で2028年までにレザー使用量原単位を30%削減
• SBTn目標に沿った、主要なサプライチェーン流域における自然環境へのポジティブなインパクトの創出
• 2035年までに売上高の20%をイノベーション由来とすること。対象には素材・製造プロセスの革新に加え、サービスや新たなビジネスモデルを含みます。